近代とは何か? - 資本主義の実験過程
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※「国語辞典 英和辞典 和英辞典 - goo 辞書」、『独和辞典』(冨山芳正編、郁文堂、1993年)、「Dictionnaire de japonais」、『中日辞典』(長谷川良一他編、講談社、1998年)、『韓日辭典』(安田吉実他編、民衆書林、1983年)、ジャック・デリダ『他の岬 - ヨーロッパと民主主義』みすず書房、1993年、より作成。
「capital」 の意味から考える - 英仏独語の類似点・相違点は?
通常、日本語の「資本」とは、以下のように定義される。
①事業のもとでとなる金。また、比喩的に仕事や生活を維持してゆく収入のもととなるものをもいう。 ②〔法〕 株式会社・有限会社の営業のため株主または社員が出資した基金の全部または重要部分を示す一定の金額であって、登記または賃借対照表により公示される金額。 ③〔経〕〔capital〕土地・労働と並ぶ生産要素の一。過去の生産活動が生み出した生産手段のストックで、工場・機械などの固定資本や原材料・仕掛品・出荷前の製品などの流動資本からなる。マルクス経済学では、剰余価値を生むことで自己増殖する価値運動体として定義される。
※以上、「国語辞典 英和辞典 和英辞典 - goo 辞書」より。
岬とキャップ(帽子)との共通点から考えてみたい。そもそも、キャップはジーンズに似合い、ハットはスカートとマッチするというのが服飾史の定番パターンである。つまり、キャップは、着用者の性別を問わずとも男性風というイメージが存在することに間違いはない。そして、キャップとは「資本」のイメージを象徴するアイテムとして覚えておくことができる。
次に、ドイツ語の場合、英語とフランス語と違い何が欠落しているか、という点に着目すると、冒頭の表からは、英語とフランス語の「capital」には首都と資本という意味があるのに対し、ドイツ語には「資本」という意味しかない。つまり、首都という意味が存在しないのである。
また、ヨーロッパ半島は、どのような形をしており、どちらへ向かっているか、という点に焦点を当てると、アメリカ合衆国の形成に触れざるをえず、独立戦争と南北戦争という二つの大きな出来事が想起される。ヨーロッパ半島は西へ突き出た、まさにキャップのような形状をしており、それは資本輸出、時には大規模な軍事輸出となってアメリカ合衆国を領土とする史実を生んだ(アメリカ合衆国の独立)。
上記地図はhttp://einbahn.net/image/europe-rmap.jpgより。
もうしばらく、単語からイメージされる連想ゲームを続けよう。
※左の世界地図は、Compass - world map of the airport databaseより。
(1)船と飛行機 - 海軍・空軍が陸軍に対して優位に立ったのは20世紀になって明らかである。上表の英米語の違いにも注目されたい。ここには、針路、羅針盤(コンパス)という単語が、目的・目標・終点を意味し、compassとなると、周囲、限界、範囲、羅針盤といった意味合いが含まれている。これらは海軍中心の侵略用語として理解することができるだろう。このように英米語では海軍産の用語が発達していることを踏まえると、大日本帝国軍の戦艦とアメリカ合衆国軍の空母という、太平洋戦争における軍事力の決定的差異が比喩的に理解されうる。
(2)第1次世界大戦の衝撃 - ギリシア・ローマという甘い夢が古典主義として表現されていた20世紀転換期の西洋文化において、第1次世界大戦後には、西洋の没落という意識や、知識人たちの絶望感がヨーロッパを覆うこととなる。代表的な知識人は、オスヴァルト・シュペングラー(独)、マルティン・ハイデガー(独)、ポール・ヴァレリー(仏)といった面々であった。大戦の戦場となったヨーロッパ半島は、自分たちが作り出した兵器によって自分たち自身を殺し合った大戦前後において、大きな意味変化を遂げた、すなわち、「西に突き出た岬」から、「ユーラシア大陸の単なる西端」へという意味変化である。
なお、オスヴァルト・シュペングラーは、ドイツの学問的な「保守革命」を行なった人物として、『西洋の没落』(全2巻、村松正俊訳、五月書房、2001年)で、当時のヨーロッパ中心史観・文明観を痛烈に批判した。その影響は、マックス・ヴェーバーやエルンスト・ユンガーをはじめとして、哲学・歴史学・文化学、芸術など多方面に及んだが、ナチス・ドイツに加担したマルティン・ハイデガーなど、極端な右翼を生んだ点も見落としてはならない。
近代の経緯
近代の開始は、新たな独立国家の誕生と、ユーラシア大陸東部から西部(ヨーロッパ)への経済・文化蓄積の移動をもって位置づけることができる。経過はナポレオン戦争、アヘン戦争、植民地分割、2度の世界大戦、植民地再分割、冷戦という好戦的な史実に枚挙をいとわない。終了の時期確定については、冷戦後における東欧の民族紛争と2度のイラク戦争(湾岸戦争)を挙げることができる。すなわち、1990年代に現代が始まったと見ることができるだろう。
この点は、兵器からみれば、誘導弾 の本格的登場が画期をなすといえる。すなわち、最初に誘導爆弾が登場したのは第2次世界大戦であるが、赤外線による自動誘導だった大日本帝国のケ号は試作段階に止まり、フリッツX、Hs293(以上、ナチス・ドイツ)、AZON(アメリカ合衆国)は、いずれも誘導母機からの目視による無線誘導によるものであった。
湾岸戦争以後は、GPS/INS誘導爆弾によって、戦争のあり方が変化した。迅速な攻略と、小規模兵力とハイテク兵器の投入は、明らかにベトナム戦争とは異なる。ちなみに、大日本帝国の場合、「赤外線誘導のケ号自動吸着弾、固体ロケットモーター付きのイ号I型甲/乙無線誘導弾などが開発されたが、試作段階で終わった。また、イ号I型甲/乙無線誘導弾は実験中に誘導装置が故障し、旅館の風呂に墜落、入浴中であった女中が裸で逃げ回ったため、「エロ爆弾」とのあだ名が付いた」(「誘導爆弾 - Wikipedia」より引用)。
資本主義(capitalism)とは何か?
資本主義とは、資本が自己増殖する経済システムのことだと一言でいうことができる。キーワードは、商品、貨幣、金融市場、株式会社、工場などである。資本主義国家の成立には内戦が伴い、その後、資本が国境を越える時、戦争を伴う場合が多い。
上記のように考えると、20世紀をつうじて、キャップの意味はヨーロッパ半島においては資本というニュアンスが減少し、アメリカ合衆国へキャップの「意図」、すなわち資本の増殖過程開始地点が移行したといえるのではなかろうか。もっとも、既に自己増殖する場所は各地に散らばっているともいえるが、集中的に資本を吐き出す、撒き散らすセンターは合衆国となった点に疑いの余地はなかろう。
19世紀の首都パリが20世紀の首都ハリウッドへ、19世紀の首都フランスが20世紀の首都アメリカ合衆国へ、権威委譲を行なった象徴的な出来事が、自由の女神のプレゼントであることは偶然ではない。
※左の写真は、デヴィッド・ハーヴェイ『パリ - モダニティの首都』大城直樹・遠城明雄訳、青土社、2006年、427ページより。
【参考文献】
ジャック・デリダ『他の岬 - ヨーロッパと民主主義』高橋哲哉・鵜飼哲訳、みすず書房、1993年デヴィッド・ハーヴェイ『パリ - モダニティの首都』大城直樹・遠城明雄訳、青土社、2006年

